WEB制作におけるデザインの役割

ホームページ制作におけるデザインの役割は重大といえますが、とにかくデザインすればいいというわけではなく、役割をしっかりと認識した上でデザインすると最大限の効果を発揮することにつながります。
そこで今回はホームページ制作におけるデザインの役割について考え、今後どういったことに注意してデザインを制作していくべきか解説します。

WEB制作におけるデザインの失敗

デザインの失敗というと、デザインセンスが悪いという印象を与えかねないですが、どうして失敗に至ってしまったのかを考えていくと、センスの問題ではない原因が考えられます。次の制作時には失敗を生かして成功できるように、ホームページ制作におけるデザインの失敗について解説します。

自己満足のデザインになっていた

ホームページを制作するときには、制作の流れに沿って進めていかないと、目的を達成できるホームページは完成しません。これはデザインだけの失敗に限らず、ホームページの機能面でも支障が出てきたり、予算が余分にかかってしまったりと、大きな影響が出てきます。

デザインについては、ホームページを制作することになって直後のヒアリング段階で、誰に向けてのホームページで、どんな目的を達成してもらいたいかなど、詳しく内容を決めます。このときに、ふわふわとしたターゲット像のまま、ホームページのレイアウトなどを決めて、デザインの段階へ進行してしまうと、ユーザー目線が抜け落ちたデザインが出来上がってしまうのです。

自己満足にならないためには

納期が短く、急いで制作を進めている場合や、ヒアリングや要件定義などの重要性を理解していないと、ターゲット決めなどの事前準備もそこそこに、ホームページのデザインの段階へ進んでしまうことがあります。

ユーザー目線を加味したデザインの制作を行うためには、デザインの前段階において、しっかりと準備をする余裕を持つことです。

自己満足のデザインとは、デザイナー自身や担当者が、作りたいホームページを作ってしまうということです。「この参考サイトがかっこいいから真似したい」という要望があるからといって、それをそのままホームページのデザインにしてしまうと、ユーザー目線では響かない参考サイトだった場合、自己満足のデザインという結果になってしまうのです。

想定していたデザインとは違うものができあがった

初めは上手く進んでいるように思えたデザイン制作も、段々と違うデザインに変わってしまって、最終的には当初予定していたデザインでは無くなってしまった、というケースもあります。
これは、途中で方向性が変わり、意図していたものと違うものができあがってしまった、ということになります。

方向性が変わることは悪いことではない

制作が進んでいく上で、デザインの方向性だけに限らず、機能面や予算など様々な変更点はつきものです。しかしその変更が起こったときに、どう対応するかで、デザインも立て直すことができます。

例えばホームページのデザインの初稿を提出した後、様々な修正がきて担当者がまとめきれず、制作会社側もそれに対応してしまったので、要望は網羅したデザインとはなったけれど、当初のターゲット層に向けたデザインの方向性とは違うものとなった場合です。
様々な部署から修正がくるケースはよくあります。デザインの初稿を見せた途端に、ホームページ制作が急に現実味を帯びてきて、様々な意見が飛び交うのです。

このときに出来ることは、関係者にターゲットをしっかり認識してもらい、それらの意見をまとめることです。このときに、ターゲットなどについて、方向性が変わってしまっても問題ありません。また振り出しにはなりますが、より多くの意見を取り入れて答えを1つに出来れば、最終的には良いホームページが出来るからです。

しかし制作会社によっては、デザインを提出したけどまた最初からやり直しとなれば、料金が変更になる場合があるので、確認が必要です。

見た目にこだわりすぎた

見た目にこだわるというのは、自己満足に似ていますが、少し違います。それはユーザーにとっては結果に左右しないところに、時間やお金をかけてしまうことです。
ユーザー目線を意識してデザインを制作していても、この見せ方はユーザーにとってどうなのか?といった疑問が出てくる場合があります。これは制作側だけではなく、企業担当者についても、こだわりが強くて前に進めないこともあります。

こだわりが強いと、必要ではないところのデザインに凝ってしまったり、デザインを決めきれなかったりと、時間がかかってしまうこともあります。
そういった場合には、最初に行ったヒアリングなどで出た意見や要件定義を見直して、そこをベースにして考えると、判断基準が見えて答えを出すことができます。

見た目の装飾やアニメーションなどが原因で、本来伝えたいコンテンツが伝らず、結果に結びつかないということにならないように、常に正しいユーザー目線を持ってデザインを行っていきましょう。

ホームページとデザインの関係

ホームページを初めて訪れるユーザーにとっては、最初に目に入ってくるインパクトのあるデザインは印象深く残りますが、どんな会社なのか、どんなサービスを展開しているのか、などの詳しい情報を知るためにはホームページの内容を理解しないといけません。

デザインはインパクトだけでは伝わらない

インパクトのあるデザインは、ユーザーの印象に残りやすくなります。時間が経ってもホームページのことを覚えていたり、思い出してくれる要素になるからです。

しかしここで大事なことは、ホームページで伝えたかった内容が、ユーザーに伝わっていたのか、という点です。インパクトだけで、ホームページの成果が得られるかというとそうではない、といえるからです。

またインパクトのあるデザインが、その会社やサービスとマッチしているのかも、気を付けなければいけません。デザインとその内容が合っていないと、逆に不信感を抱かせてしまい逆効果につながることもあります。

ホームページでは、会社情報や商品の情報を伝え、購入やお問合せいただくなど、アクションにつなげることを目的としている場合が多いです。印象に残るホームページのデザインができても、内容が伝わっていなかったら、商品購入や検討などの段階に至らないからです。

見た瞬間に伝えられる情報をまずはしっかりとアピール

これはホームページを開いた瞬間に、出来るだけ伝えたい情報が伝わるデザインかどうかです。ユーザーは、何か探したいものがあったり、解決したいことがあったときに、ホームページを見てその答えを探しています。その中で、ユーザーの思いとマッチしているかどうかを判断してもらえるのが、パッと見たときのホームページのデザインやメインビジュアルの内容などです。

つまり、ユーザーであるターゲット層が興味を持ってもらえるようなデザインであれば、ホームページのコンテンツに引き寄せるきっかけを作ることができます。

例えばターゲットが30代の働いている女性であれば、メインビジュアルの内容でそういった様子が分かる写真を使うと、自分に近いと感じることができ、ホームページのコンテンツを読み進めてもらう可能性が高くなります。

伝えられる情報をアピールできるデザインにするためには、まずターゲットを明確にし、その人を理解することです。それから伝えられる情報を整理して、アピールしていきましょう。

ユーザー目線があってこそのデザイン

ユーザー目線が出来ていないデザインは、ホームページにおけるデザインの失敗にあったように、自己満足のデザインになっていることが多々あります。自己満足のデザインになっていると、目を引くデザインだったとしても、商品を売りたい、または検討してほしいユーザーに響く可能性は低いと考えられます。なぜならユーザーのことを考えてデザインしていないから、そのユーザーが見ても、見た瞬間何か違うと思ったり、このホームページは自分が探している答えはないかもしれないと思い、離脱するからです。

では、ユーザー目線が必要と分かったら何からスタートしたらいいのでしょうか。
まずはターゲットを確認し、そのターゲット層に響くデザインを考えることです。女性と男性では好むデザインが違いますが、例えば女性でも主婦と学生では、さらに好みも変わってきます。BtoBや製造業向けのホームページでは、より信頼性のある会社をアピールすることも求められるため、その工夫もしています。

このようにターゲットや業種によってデザインは異なるので、ユーザー目線でデザインすることは重要になります。さらにユーザについてより深く知ることが、ユーザー目線のデザインにつながります。

デザインの役割を考える

デザインの失敗やホームページとデザインの関係を解説できたところで、そもそもデザインが持っている役割というのはどういったものかを考えます。
これからホームページにおけるデザインの役割を明確にし、より良いホームページ制作につながるように解説します。

デザインは課題を解決すること

「デザインは課題を解決すること」とは様々なデザインの現場で言われています。比較されるのはアートとデザインの違いで、それは自己表現か他者表現かとも言われています。
つまり、アートは制限なく自分がしたいことをし、デザインはその対極にあって、様々な要望の中で伝えないといけないということです。

ではホームページのデザインにおいて課題解決とは、どういったことを指しているのでしょうか。

ホームページの課題解決について

まずホームページを制作するときには、最初から要望というものがあります。それは、こんな製品を売りたい、このサービスを知ってもらいたいという制作の背景などですが、その要望というのを整理していく中で、課題や問題点を見つけることが課題解決の第一歩です。

例えば、今持っているホームページでは、製造業の方にある製品を十分にアピール出来ていなくて、発注につながっていないといった課題があれば、ターゲット層に見てもらえるコンテンツをもう一度考え、見せ方やキャッチコピーなどから、一番訴求できるデザイン考えます。
デザインと一言でいっても、たくさんの情報を整理することからスタートし、コンテンツ作成などが決まって、デザインで解決することができるのです。

コンテンツをユーザーに届けるための手段

デザインの役割はあくまでもコンテンツをユーザーに届けるための手段でしかなく、ホームページを見たユーザーが、商品を買うか、その会社を信頼するか、などその目的を達成するための手助けの役割をデザインは担っています。

コンテンツを正しくユーザーに届ける役割は、ホームページにおいてとても重要です。もしユーザーにマッチしていないデザインだったとすると、本来商品を買ってほしいお客様や取引先へ正しい情報が伝わらなくなってしまい、商談の機会を失ってしまうことになります。
それくらいデザインは重要です。

では具体的にどんなことをするとその役割を果たせるのかというと、それはユーザーやお客様のことを理解することに限ります。

なかなか商品を販売している会社だけでは、商品の良さが分かっていないかもしれません。その商品を実際に使っている取引先への聞き取りを行うと、なぜ使い続けているのかというヒントがもらえるかもしれませんし、実際のターゲット層の人に話を聞くこともヒントになります。

まとめ

ホームページにおけるデザインの役割を知るために、まずデザインの失敗について解説しました。
自己満足やこだわりの強すぎるデザインは、ユーザー目線が抜けていて、伝えたい人に伝えたいことが伝わらない結果を招いていることが分かりました。
また想定していたデザインとは違うものになった原因は、関わる担当者の意見がまとめきれず、方向性を見失っていたことが考えられます。

こういった失敗からホームページとデザインの関係を見てみると、まずデザインはインパクトだけでは伝わらないということがいえます。インパクトのあるデザインによってユーザーの印象に残ったとしても、コンテンツが伝わらなければ、次のアクションにつなげられることは難しいです。
インパクトよりもコンテンツの内容が大事です。ホームページを見た瞬間に、自分が探していた情報があると認識してもらい、読み進めてもらうことが、ホームページの成果につながっているからです。

最後にデザインの役割について考えました。デザインとは課題を解決することですが、その課題の解決法を見つけるために、多くの情報を整理しないといけません。デザインはコンテンツをユーザーに届けるための手段になるので、より良いコンテンツを作成し、それが一番伝わるデザインになって、ユーザーの元に届かなければいけないのです。それが出来たデザインが、役割を果たしたホームページのデザインとなるのです。