ホームページ制作の見積依頼する際はRFP(提案依頼書)を作ろう

「ホームページを作ろうと思って数社に見積もりを依頼したが、見積内容、金額がバラバラすぎて、どう選んだらよいか分からない・・・」というお悩みをしばしば耳にします。
何故このようなことが起こるかと言うと、見積・提案の依頼の仕方に問題があるのです。
本記事では、そのような事を未然に防ぐRFP(提案依頼書)について解説いたします。

RFP(提案依頼書)とは?

210712

RFPはRequest for Proposalの頭文字をとった略称で提案依頼書の意味です。提案依頼書とは、発注者である企業がWEBサイト制作会社やシステム開発会社に対して「こんな事を考えているから、提案してね!」といった内容が書かれた書類です。
官公庁や大手企業などのホームページがリニューアルされる際には大抵このRFPが準備されています。
制作会社側はこれを受け取り、依頼内容に沿って提案を考えて行きます。
弊社にて某大学様のWEBサイトリニューアル提案の際に受け取ったRFPは30ページにも及ぶ膨大なものでした。また、とある中堅企業様から受け取った際はA4用紙3枚程度の簡単なものでした。RFPには決まった形式はないので、各社で独自に作成しています。

なぜRFP(提案依頼書)が必要なのか

では、なぜがホームページ制作の提案・見積依頼をしてもらうのに必要となるのでしょうか?できれば依頼も簡単に済ませたいものですが、RFPを作るにはちゃんとした理由があるのです。

制作前に自社の現状把握・課題分析ができる

RFPを作るためには、まずは自社の現状を振り返らなければなりません。業界内での立ち位置や競合他社の事、競合他社のホームページはどうなっているのか、自社サイトへのアクセス数や各種キーワードでの検索順位など、まずは自社を知り、自社の課題を洗い出す必要があります。この過程の中で現状を把握し、課題点を抽出出来ますので、ホームページの依頼だけではなく、他の広報や営業活動においても役に立つ情報形成ができるのです。

見積もり内容のバラつきをなくし業者を評価しやすくなる

本記事の冒頭にもありましたように、多くの企業がホームページ制作の相見積もりを数社に依頼し、内容・金額がバラバラの見積が提出されたという経験をお持ちです。
何故このような事が起こるかというと、「提案の依頼内容が明確でないから」です。

恐らく数社と面談し、業者のヒアリングに対して思っていることを喋って、「では提案を待っています。」といった具合に依頼しているのではないでしょうか?そうすると、A社からは機能てんこ盛りの100ページくらいの提案が来て、B社はミニマムなところからスタートしましょうという提案が来て、C社はその間くらいの提案で・・・と、各社バラバラの提案が出てきて、どう選定したら良いかわからず、また業者を募って提案してもらい・・・といった現象に陥ります。

RFPを整備することで、提案して欲しい内容は予め書かれているので、それに沿って各社が提案・見積してくれるので、価格比較、デザイン面での比較、プラスアルファでの提案と、業者の評価がしやすくなるのです。

具体的要望を明示することで提案の質を向上させる

RFPは書面で要望を提示いたしますので、伝え漏れがなくなるというメリットがあります。複数社と面談し口頭で要望を伝える形では、A社には伝えたが、B社には伝え忘れたという事態が発生いたします。また制作会社側の営業担当が自社に持ち帰り、ディレクターと相談する時に営業担当の主観が混ざり、本来の主旨とは異なる解釈をされてしまい、本来の目的からズレた、的はずれな提案が出てくる事もあります。

RFPをしっかり整備することで、自社の要望や制作の目的、期待する効果、導入したい機能やコンテンツ、求めるデザインテイストなどを漏れること無く伝えることが出来ますので、各社の提案の質を向上させることが出来ます。
また、口頭で複数社に伝達するとなると、かなりの時間を要します。そのような時間的コストカットもRFPを用意することで可能となります。

評価基準を明確にする

RFPがない場合、各社から提案が上がってきて、いざ業者選定しようとした場合、前述のとおり、各社の見積内容や提案内容がバラバラで判断のしようが無いという事態に陥ります。結果的に一番価格の安い業者に依頼し、十分な提案依頼もしてないわけですから、制作途中に「聞いていない」「言った」といった様々なトラブルが発生する場合もあります。
RFPを準備すれば、各社から依頼事項に基づいた提案が届きますので、提案内容がある程度均一化され評価をしやすくなります。

トラブルを未然に防ぐ

前項でも記載いたしましたが、予め要件を明示することで制作途中や納品後のトラブルを回避できます。制作時によくあるトラブルが「言った言っていない」というコミュニケーションでのトラブルであったり著作権や瑕疵担保責任などの問題です。
RFPにそれらの取り扱いをしっかり明示することで、業者との間でのトラブルを回避できます。

RFP(提案依頼書)の書き方

RFPの重要性、用意することのメリットについてはご理解いただけましたでしょうか?
では、RFPはどのように作成すれば良いのかを、項目毎に紹介いたします。

企業情報

まずは自社の事を伝えましょう。業種や主力製品、業界での立ち位置、USP、競合他社、年商、従業員数など。特に業種や主力製品は「◯◯業です」「主力製品は◯◯です」だけでは制作会社はピンときません。その製品にはどのようなニーズがありどこで使われているのか等、何も知らない人に対して自社を自己紹介するつもりで書きましょう。
またホームページリニューアルのプロジェクトなのであれば、ここで現在のホームページの状況(アクセス数やコンバージョン数など)も記載してましょう。

プロジェクトについて

ホームページを立ち上げる・リニューアルするプロジェクトについて、なるべく詳しく記載いたしましょう。
プロジェクトが立ち上がった背景、現在の経営的課題、何を目的としてホームページを制作するのか、期待するゴールを記載しましょう。ゴールには例えばアクセス数◯◯件、コンバージョン数◯件といった具体的に数値に落とし込んだ方が提案の質が上がります。
その際にあまり非現実的なゴール設定すると、そもそも提案が集まらなくなりますので、社内にてよく検討し、実現可能なレベルのゴール設定しましょう。

ターゲット

御社の製品やサービスを求める方はどのような方(企業)なのかを記載します。BtoCなのであれば、性別・年齢層・居住地・・・等のパーソナルな情報を、BtoCなのであればどのような業界の方が顧客になるのかを記載します。実際に顧客の例を出したら分かりやすくなります。

ホームページの要件・希望

ホームページの要件や希望事項を記載します。ここが最も業者が気になる部分です。なるべく詳細に記載しましょう。
例えば希望するサイトマップを予め提示する、CMSを入れる場合は利用したい機能を書きます。SEOを意識する場合は、ターゲットとしているキーワードを提示します。
またデザインの仕様やサーバー要件なども記載する必要があります。

提案依頼内容

自社の情報やターゲット、プロジェクトの概要、要件を提示したら、それらに基づいて提案時に何を提出して欲しいかを明示しましょう。
「企画提案書」「見積書」以外に提出してほしいものが記載しましょう。例えば「デザイン案」や「スケジュール表」「プロジェクトの推進体制」、「これまでの制作実績」「同業他社の制作実績」などが該当します。
また提案の提出締切りを必ず設けましょう。なるべく業者にとって無理のない提案スケジュールでなければ参加する企業が0社という事もありえますので、現実的な締切りを設定しましょう。

参加資格・条件

提案に参加できる業者に資格や条件が必要であれば、しっかりとその旨を記載しましょう。例えば「同業種の事例がある制作会社に限定する」や「Pマーク取得企業に限る」「大阪府内に事業所がある企業」など、御社のプロジェクトを成功させるにふさわしい企業に何かしらの資格や条件が必要だった場合は必ず明記しましょう。

予算

「ホームページの制作費用は良くわからない」という声を良く耳にします。そこで思考停止してはいけません。予算を提示することは非常に重要で、予め予算を提示することで、業者側はその予算に合わせて提案してれます。逆に予算が明示されていない場合は、ピンからキリの見積書が提出され業者選定の判断を誤ってしまう可能性もございます。
相場が分からない場合は予めリサーチして必ず予算をRFPに記載しましょう。
また制作後の保守やWEBマーケティングもお願いしたい場合は、その予算も記載しましょう。

希望納期

いつまでにホームページを公開したいかといった納期を指定します。この納期に合わせて業者にはスケジュール立案してもらいましょう。ここでも無理のない納期設定をすることが求められます。以前弊社にRFPを頂いた際、そこそこボリュームのあるホームページの内容でしたが、制作期間が3ヶ月という無茶な内容だったので提案をお断りした事もございます。
実現可能な納期を設定しましょう。

著作権・瑕疵担保責任・再委託など

著作権

納品物の著作権が制作者、依頼者のどちらに帰属するか必ず明記しましょう。このような法務要件は後々のトラブルを防ぐ大切なものです。ここに記載しないがばかりに、裁判にまで発展したケースもございます。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任は納品後にバグが見つかった場合に業者側で修正対応するというもので、瑕疵担保責任は通常1年とされています。これを明記しなければ、公開後のバグ対応が有償対応となる場合ございます。

再委託

業者が外注先に業務の一部または全部を委託することを可とするか不可とするかを明示しましょう。可とする場合もどのような委託体制であれば可能という形で制限を付けるのも良いでしょう。

ホームページ制作の見積依頼する際はRFP(提案依頼書)を作ろうのまとめ

ここまでRFP(提案依頼書)の必要性や書き方を紹介して参りましたが、RFPをしっかりと準備するのは非常に手間がかかります。社内での調整も必要ですし、上司の決裁を得るのにも何度も書き直すということもしばしば。
ですが、目的は経営課題を解決するホームページを完成させることにあります。
RFP作成を怠って、数百万円のホームページを作ったが全く成果が出なかったでは話になりません。

ホームページ制作を業者に依頼する際は、本記事をご参考いただきまして、是非RFPを作って見てください。
クレフではRFP作成のサポートも可能でございます。某大学のWEBコンサルに入っておりますので、ホームページリニューアルコンペ時のRFPは弊社にて手がけたという実績もございます。
RFP作成でお困りの際はホームページ制作のクレフまでお問い合わせください。