景品表示法はホームページ制作で重要!違反事例とステマ規制の対策

景品表示法はホームページ制作で重要!違反事例とステマ規制の対策

(監修:株式会社クレフ マーケティングチーム)

ホームページ制作において、デザインの美しさや使いやすさ(UI/UX)と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「掲載内容の法的な正確性」です。

特に、インターネット上での集客や販売を行う企業にとって「景品表示法(けいひんひょうじほう)」の遵守は必須です。
「少しでも商品を良く見せたい」という気持ちから軽い気持ちで行った表現が、実は法律違反になっていたというケースは後を絶ちません。2023年10月には、いわゆる「ステルスマーケティング」に関する告示(ステマ規制)が施行され、景品表示法上の「不当表示」として明確に位置づけられました。これにより、ホームページ担当者が押さえておくべきルールは一段と増えています。

この記事では、ホームページ制作や運営を行う上で押さえておきたい景品表示法の基礎知識から、よくある違反事例、そして具体的な対策までを解説します。 正しい知識を身につけ、ユーザーから信頼される安全なホームページ運営を目指しましょう。

目次

ホームページ制作で知っておくべき景品表示法の基礎知識

ホームページ制作を進める中で、「キャッチコピーはどうしようか」「どんなキャンペーンを打とうか」と考える時間は楽しいものです。

しかし、そのアイデアが法的に問題ないかどうかをチェックする視点を持てているでしょうか。 まずは、ホームページ担当者として知っておくべき景品表示法の基本について解説します。

そもそも景品表示法とは?ホームページ担当者向けに解説

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)とは、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示することを厳しく規制する法律です。 その目的は、私たち一般消費者が「適正に商品を選べる環境を守ること」にあります。

もし、実際には品質が良くないのにも関わらず「最高品質!」と書かれていたり、本当は安くないのに「今だけ激安!」と表示されていたりしたらどうでしょう。消費者は正しい判断ができず、不利益を被ってしまいます。 こうした事態を防ぐために、景品表示法はホームページ上の文言や画像、広告バナーなど、あらゆる「表示」に対してルールを定めています。

ホームページ制作においては、トップページのメインビジュアルにあるキャッチコピーから、商品詳細ページのスペック説明、キャンペーン情報の価格表示に至るまで、すべてのテキストと画像がこの法律の対象になると考えてください。

「知らなかった」では済まされない重要な法律ですので、ホームページ担当者は常にこの法律を意識してコンテンツを作成する必要があります。

なぜホームページ制作で法律の知識が必要なのか

「法律のことは法務部に任せればいい」と考えているホームページ担当者の方もいるかもしれません。

しかし、ホームページの更新スピードは非常に速く、すべての更新内容を法務部がリアルタイムでチェックするのは現実的に難しい場合が多々あります。

また、中小企業においては、経営者や担当者が一人で記事更新やホームページの管理を行っているケースも少なくありません。

ホームページ制作の段階で法律の知識が必要な理由は、手戻りを防ぎ、企業の信頼を守るためです。

例えば、制作が大詰めを迎えた段階で「このキャッチコピーは法律違反の可能性がある」と判明した場合、デザインの修正や画像の差し替え、最悪の場合はホームページ公開の延期など、大きなロスが発生します。

さらに、インターネット上の情報は一度拡散されると完全に消去することが困難です。たった一度の不当な表示がSNSなどで炎上し、長年築き上げてきた企業のブランドイメージを一瞬で失ってしまうリスクもあります。

だからこそ、現場でホームページ制作や運用に携わる担当者自身が、景品表示法の基礎を理解しておくと安心です。

景品表示法に違反した場合のリスクとペナルティ(措置命令・課徴金)

景品表示法に違反していると判断された場合、消費者庁や都道府県から厳しい処分が下されます。 代表的なものとして「措置命令」「課徴金納付命令」があります。

 「措置命令」とは、その表示が違反であることを認め、消費者に誤解を与えたことを周知し、再発防止策を講じるよう命じられるものです。これは消費者庁のウェブサイトや新聞などで社名とともに公表されるため、社会的信用に甚大なダメージを与えます。「あの会社は嘘の広告を出していた」というレッテルは、その後の売上に深刻な影響を及ぼすでしょう。

さらに、違反していた期間の売上額を基準に原則3%の割合で算定される「課徴金」を納付しなければならない「課徴金納付命令」が出されることもあります。

ここで注意したいのは、これらのペナルティを受けるのは、制作会社ではなく「広告主(依頼者)」であるという点です。「制作会社が勝手に書いた」という言い訳は通用しません。

自社を守るためにも、丸投げにするのではなく、発注者自身が正しい目を持ってホームページ制作に関わることが重要です。

(参考:消費者庁 景品表示法関係ガイドライン等) 

ホームページ制作の際、特に注意すべき「不当表示の3つの類型」

景品表示法では、消費者を誤解させる表示を「不当表示」として禁止しています。

なかでもホームページ制作において問題になりやすいのが、「優良誤認表示」「有利誤認表示」、そして指定告示として新たに追加された「ステルスマーケティング(ステマ)に関する告示」です。

これらが具体的にどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

商品やサービスを実際より良く見せる「優良誤認表示」

優良誤認表示(ゆうりょうごにんひょうじ)とは、商品やサービスの品質、規格、その他の内容について、実際のものよりも著しく優れていると一般消費者に誤認させる表示のことです。

また、競合他社の商品と比べて、実際にはそれほど差がないにも関わらず、あたかも自社の商品が圧倒的に優れているかのように見せることもこれに該当します。

 例えば、ホームページ制作で以下のような表現をする場合は要注意です。

  • 健康食品のページで、科学的根拠がないのに「飲むだけで痩せる!」と謳う。
  • スクールの紹介で、実際には一部の講師しか該当しないのに「講師は全員、海外大学出身のプロフェッショナル」と記載する。
  • 国産の部品を一部しか使っていないのに、商品写真に大きく「安心の日本製」と表示する。

「著しく優良」という基準は曖昧に感じるかもしれませんが、社会通念上、消費者がその表示を見たら「すごく良い商品だ」と期待してしまうレベルかどうかで判断されます。
ホームページ担当者は、「ちょっと大げさかな?」と感じる表現があれば、すぐに立ち止まって確認する癖をつける必要があります。

価格や条件を実際よりお得に見せる「有利誤認表示」

有利誤認表示(ゆうりごにんひょうじ)とは、商品やサービスの価格や取引条件について実際よりも著しく有利である(お得である)と消費者に誤認させる表示のことです。 価格は消費者にとって最も敏感な判断材料の一つであるため、ここでの嘘や紛らわしい表現は厳しくチェックされます。

 具体的なNG例を見てみましょう。

 

  • 「他社より安い!」と謳っているが、実は商品本体価格のみの比較で、送料や手数料を含めると他社より高い場合。
  • 「キャンペーン期間中につき全品半額!」と表示しているが、実際には常にその価格で販売している場合。
  • 「基本料金0円」と大きく書きながら、契約には高額なオプション加入が必須条件であることを極小の文字で記載している場合。

ホームページ制作では、ユーザーの目を引くために「お得感」を強調するデザインが求められがちです。しかし、その強調が行き過ぎて事実と異なってしまえば、それは有利誤認表示となります。

お客様にお得な情報を届けることと、誤解させて契約させることは全く別の話です。誠実な価格表示を心がけましょう。

2023年10月から規制対象になった「ステルスマーケティング」

2023年10月1日より、景品表示法の禁止行為に「ステルスマーケティング(通称:ステマ)」が新たに追加されました。

ステマとは、広告主が関与しているにも関わらず、あたかも第三者(一般消費者やインフルエンサーなど)の純粋な感想であるかのように装って宣伝を行う行為です。

これまで日本の法律にはステマを直接対象とする明確な規定がありませんでしたが、今回の改正により、景品表示法上の「不当表示」の一類型として扱われることになりました。

ホームページ制作やWebマーケティングの現場では、以下のようなケースが規制の対象となります。

 

  • 自社の従業員が、身分を隠して自社ホームページのレビュー欄に高評価の口コミを投稿する。
  • インフルエンサーに報酬を渡して商品を紹介してもらう際、「PR」や「広告」といった表記を入れずに投稿させる。
  • アフィリエイトサイト運営者に依頼して、競合他社を不当に貶めるような比較ランキング記事を作成させる。

重要なポイントは、「事業者の表示であること」が消費者に判別できない場合に規制対象となる点です。 関係者が情報発信をする際は、必ず「関係者による投稿です」「広告企画です」といった明示を行う必要があります。この新しいルールは、今後のWeb戦略において非常に重要な要素となります。

 (参考:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」) 

ホームページ制作や運営でやりがちな優良誤認や有利誤認のNG違反事例

法律の条文だけを読んでいても、なかなか実務でのイメージは湧かないですよね。

ここでは、ホームページ制作や日々の運営更新の中で、ついやってしまいがちな具体的な違反事例を紹介します。 「これくらいなら大丈夫だろう」という油断が、大きなトラブルを招くことを認識しましょう。

根拠のない「No.1」や「ランキング1位」の掲載

ホームページのコンバージョン率(成約率)を高めるために、「顧客満足度No.1」「業界シェア第1位」といった「No.1表示」を使いたいと考える企業は多いでしょう。

しかし、この「No.1」表示は、景品表示法の違反事例として最も頻繁に取り上げられる項目の一つです。

違反となるのは、その順位を裏付ける「客観的な根拠」がない場合です。

例えば、自社で適当に行ったアンケート結果をもとに「No.1」と謳ったり、調査を行った範囲(地域や期間)を明記せずに、あたかも全国規模での1位であるかのように見せたりすることは優良誤認表示にあたります。

また、数年前の古いデータを使い回して「現在もNo.1である」かのように表示することもNGです。

「No.1」という言葉は強力な訴求力を持ちますが、それだけに裏付けのない使用は非常にリスクが高い行為であることを肝に銘じてください。

「今だけ半額」「通常価格」などの二重価格表示

ECサイトやサービス紹介ページでよく見かける、価格の上に横線を引いて割引価格を目立たせる「二重価格表示」

「通常価格 10,000円 → 今だけ 5,000円」といった表示は、非常にお得感があります。

 しかし、この「通常価格」に実態が伴っていない場合、有利誤認表示となります。

よくある違反事例は、実際には10,000円で販売した実績がほとんどない(あるいは全くない)にも関わらず、架空の高値を「通常価格」として設定し、大幅に値引きしたように見せかける手法です。

 景品表示法のガイドラインでは、「通常価格(または当店通常価格)」として比較対象にする価格は、「最近相当期間にわたって販売されていた実績がある価格」でなければならないと定められています。

「セール用に見せかけの定価を作る」という行為は明確なルール違反です。ホームページ制作時に価格表のデザインを作る際は、比較対象となる価格の根拠を必ず確認するようにしましょう。

関係者であることを隠した口コミやレビュー投稿

自社ホームページ内に「お客様の声」や「レビュー機能」を設置している場合も注意が必要です。 商品やサービスの評判を良くしたいあまり、社員やその家族、あるいは取引先に依頼して、一般客を装って良い口コミを投稿してもらう行為は、前述の「ステルスマーケティング規制」に抵触します。

 「少しでも盛り上げたい」「最初の口コミがないと寂しい」という気持ちは理解できますが、これは消費者を欺く行為に他なりません。 また、悪い口コミを恣意的に非表示にし、良い口コミだけを掲載して「平均評価★4.8」のように表示することも、ホームページ全体の印象を操作するものとして問題視される可能性があります。

 口コミコンテンツは、ユーザーにとって非常に重要な判断材料です。そこに「やらせ」が発覚した場合、その企業に対する信頼は地に落ちます。 誠実な運用を心がけ、どうしても関係者が投稿する場合は「※社員による感想です」と明記するなど、透明性を確保しましょう。

 消費者庁のウェブサイトでは、優良誤認や有利誤認について、イラスト付きでわかりやすく解説されている「事例でわかる景品表示法」というPDFパンフレットが公開されていますのでそちらもご覧ください。

 (参考:消費者庁「事例でわかる景品表示法」

景品表示法に違反しないための具体的な対策とチェック体制

ここまでリスクや違反事例を見てきて、「ホームページ制作が怖くなった」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、適切な対策とチェック体制を整えれば、過度に恐れる必要はありません。

ここでは、健全なホームページ運営を行うために実践すべき具体的なアクションプランをご紹介します。

「No.1」表記には客観的な調査データの根拠を用意する

もしホームページ上で「No.1」や「第1位」という表現を使用したい場合は、必ず「客観的な調査に基づいた根拠(エビデンス)」を用意してください。 具体的には、以下の3点を満たす必要があります。

 

  1. 客観的な調査であること
    自社都合の偏った調査ではなく、第三者機関による調査などが望ましいです。
  2. 調査結果を正確に引用すること
    都合の良い部分だけを切り取らず、実態に即した内容であること。
  3. 調査の出典を明記すること
    「202X年〇月 △△リサーチ調べ(調査対象:〇〇)」のように、いつ、誰が、何を調査したのかを、No.1表示の近くに読み取れる大きさで記載します。

もし、これらの根拠を用意するのが難しい、あるいはコストがかかりすぎる場合は、「No.1」という安易な表現を使わず、自社の強みを別の言葉で具体的に伝える方法(例:「創業〇年の実績」「〇〇社との取引実績あり」など)を検討することをお勧めします。

「打ち消し表示」は目立つ場所にわかりやすく記載する

広告のメリットを強調する一方で、例外条件や制約事項を記載する注釈のことを「打ち消し表示」と呼びます。 例えば、「※個人の感想です。効果には個人差があります」「※一部対象外の店舗があります」といった文章のことです。

 違反を防ぐためには、この打ち消し表示を消費者が正しく認識できるように配置する必要があります。

 

  • 強調表示(メリット)のすぐ近くに配置する。
  • 背景色と同化させず、読みやすい文字色にする。
  • 文字サイズを極端に小さくせず、他の本文と比べて過度に小さくならないようにする(スマートフォンでも無理なく読める大きさにする)。

 「書いてあればいいだろう」と考えて、ページの最下部に極小の文字で記載したり、クリックしないと読めない場所に隠したりするのはNGです。

ホームページ制作のデザイン段階で、注釈テキストもしっかりと読めるレイアウトを確保することが重要です。

社内でのチェックフロー構築とガイドラインの活用

景品表示法違反の多くは、担当者の知識不足やチェック漏れから発生します。 これを防ぐためには、記事やページを公開する前の「社内チェックフロー」を確立することが有効です。

 

  • 制作担当者以外の目が通る仕組みを作る
    執筆者一人で完結させず、別部署のスタッフや上長がダブルチェックを行う。
  • チェックリストを作成する
    拠のない最上級表現はないか」「二重価格の根拠はあるか」「画像の権利関係はクリアか」など、確認すべき項目をリスト化する。
  • 消費者庁のガイドラインを参照する
    判断に迷ったときは、消費者庁が公開している「景品表示法ガイドライン」や「事例集」を確認する習慣をつける。

また、定期的に社内で勉強会を開き、ホームページ担当者だけでなく、営業や商品開発に関わるスタッフ全員で法令遵守の意識を高めていくことも、長期的なリスク管理につながります。 

安心してホームページ運用を行うためにプロに相談を

景品表示法は、時代の変化や新しいWebサービスの登場に合わせて、解釈や運用基準が変化していくものです。

本業に忙しい経営者様や、他の業務も兼任しているホームページ担当者様が、常に最新の法規制を完璧に把握し続けるのは非常にハードルが高いことでしょう。

しかし、知らなかったでは済まされないのが法律の世界です。「とりあえず作ってしまおう」と進めた結果、後から修正に追われたり、最悪の場合は行政処分を受けたりしては元も子もありません。

制作会社選びではコンプライアンス意識の高さを確認する

ホームページ制作会社を選ぶ際、デザインの実績や費用の安さだけで決めていませんか?
これからの時代、パートナーとして選ぶべきは「コンプライアンス(法令遵守)意識の高い制作会社」です。

打ち合わせの段階で、「この表現は法的にリスクがありませんか?」「根拠となるデータはありますか?」といった質問や提案をしてくれる制作会社であれば、安心して任せることができるでしょう。 逆に、言われたことをそのまま掲載するだけの会社や、「バレなければ大丈夫ですよ」といった無責任な態度をとる会社は、将来的なリスク要因となるため避けるべきです。

不安な表現は消費者庁のガイドラインや専門家に確認する

自社で作成したキャッチコピーやキャンペーン内容について、「本当にこれで大丈夫かな?」と不安を感じたら、迷わず確認作業を行いましょう。 消費者庁のホームページには、豊富な事例集やQ&Aが掲載されています。また、各都道府県の消費生活センターなどでも相談を受け付けている場合があります。

 専門的な判断が必要な場合は、弁護士や景品表示法に詳しいコンサルタントにアドバイスを求めるのも一つの手です。事前の確認にかかるコストは、違反した時の損失に比べれば微々たるものです。

正しい知識で信頼されるホームページを目指そう

最後に、私たち「株式会社クレフ」について少しだけご紹介させてください。 大阪を中心に活動する株式会社クレフでは、単に美しいホームページを作るだけでなく、「お客様のビジネスを守り、育てる」という視点を大切にしています。

 私たちは、景品表示法をはじめとするWeb関連の法規や、最新のSEOトレンド(検索エンジン最適化)を常に追っており、ご依頼いただくホームページ制作においても、コンプライアンスを意識した構成・表現のご提案を行っております。 「自社の強みをアピールしたいけれど、法的に問題ない表現がわからない」「現在のサイトがステマ規制に対応できているか不安だ」といったお悩みをお持ちの経営者様、担当者様は、ぜひ一度クレフにご相談ください。

 ホームページは企業の「顔」です。

法律を正しく理解し、誠実な情報を発信し続けることは、ユーザーからの信頼を獲得し、結果としてビジネスの長期的な成功へとつながります。 適切な準備と信頼できるパートナーと共に、自信を持ってホームページの発注・運営へと臨みましょう!

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事例については必ず行政機関や専門家にご相談ください。最新の情報は消費者庁の公式サイトでご確認ください。