ホームページ制作の会計処理「経費?それとも固定資産?」

「ホームページ制作って経費で落とせるの?」
お客様からホームページ制作を依頼された際に、以下のような事をよく聞かれます。
勘定科目にはホームページ制作費という項目はありませんし、初めてホームページを制作された方にとってはなかなか難しい問題なのかもしれません。
本記事ではホームページ制作費用の税務上の取り扱いについて解説いたします。

ホームページ制作は広告宣伝費になる?

通常はホームページ制作費用は販売促進・プロモーション活動を目的とすることが多く、「広告宣伝費」として損金参入となり、当期費用で処理することとなります。

しかしホームページ制作といっても内容は多岐に渡ります。
例えば当社にご依頼いただくホームページ制作のオーダーも、数万円規模の簡単1ページもののホームページから、数百万円規模の更新システム(CMS)や問合せ管理システム等のプログラムを導入した大規模サイトまで多種多様なケースがございます。

それらを全て経費として扱うことになるのでしょうか?
実はホームページ制作費については、国税庁が以下の見解を示しております。

通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金(経費)として取り扱うのが相当であると考えられます。

ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。

また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は、無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数5年を適用して償却することとなります。
※2020年12月現在は上記記述が国税庁のホームページから削除されております。

上記の国税庁の見解を踏まえて。広告宣伝費となるケース、資産となるケースを見ていきましょう。

ホームページ制作が広告宣伝費(損金処理)となるケース

それでは、広告宣伝費として扱われるケースを見ていきましょう。

一般的なホームページ制作

先述の国税庁の見解では「使用期間が1年以上に及ばない場合は損金(経費)になる」と記載されておりました。
制作後1年間全く変化がないホームページであれば、使用期間が1年を超えるに該当しますが、ホームページとは本来「会社の概要や商品・サービスを広く知らせるため」、「採用活動を求職者に知らせるため」に制作されるものですから、頻繁に更新することが想定されます。
その場合、「使用期間が1年以上に及ばない場合」に該当する事となり当期の費用として扱われ、ホームページ制作は広告宣伝にて計上されます。
つまり、1年以内にホームページ内のコンテンツ(お知らせ、ブログ、画像変更・・・等)が少しでも更新されていれ広告宣伝費として損金(経費)扱いとなります。

SEO対策

SEO対策なども集客・認知度向上を目的としたもので、さらにホームページに対して内部施工などを頻繁に行うことが想定され、上記ホームページ制作と同様に、支出の効果が1年以上には及ばないので広告宣伝費とみなさて損金となります。

30万円未満のホームページ制作

中小企業の場合は“中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例”によって、内容や機能に関係なく、ホームページ制作にかかった費用が30万円未満であった場合は損金として処理することができます。

お問い合わせフォーム等のメールフォーム

メールフォームなどはプログラムとして考えられそうなものですが、単純にメールを送信する機能としてのメールフォームであれば宣伝目的の一部と考えられ広告宣伝費となります。

ホームページ制作費用を資産計上する必要があるケース

ソフトウェアとみなされる場合はどのようなケースが考えられるのでしょうか。

1年以上更新をしないことを前提として制作されたホームページ

作りっぱなしで1年以上更新をしない事を前提として制作されたホームページに関しては、繰延資産か長期前払費用としての会計処理が必要です。繰延資産として計上する場合、使用期間によって均等償却する形となります。

ソフトウェア・プログラムを組み入れたホームページ制作

ECカートシステムや決済システム、オンライン予約機能などを開発し導入した場合です。この場合は耐用年数5年で償却することとなります。

ホームページ制作とソフトウェア・プログラム開発を同時に行った場合、制作費のすべてを「広告宣伝費」などの「支出時の損金」としては認めず、ホームページ制作を「広告宣伝費」として処理、ソフトウェア部分を「無形減価償却資産(ソフトウェア)」として計上し、耐用年数5年で償却することになっています。

全体の費用が200万円で内訳がホームページ制作費100万円、ソフトウェア・プログラム開発が200万円であった場合、ホームページ制作費の100万円が「広告宣伝費」、「ソフトウェア・プログラム開発」の200万円が「資産」となります。

しばしば見積書や請求書に「WEBコンテンツ制作費用一式」と全ての費用をひとまとめに記載されてしまうケースもございます。
その場合は全額が「ソフトウェア・プログラム開発」となる場合があるので、なるべく項目ごとに見積算出をしてもらう方が良いでしょう。

ちなみに見積書や請求書を分割した際、ソフトウェア・プログラム開発プログラム部分が30万円未満になれば少額減価償却資産として一括で経費にできます。

ホームページ制作の会計処理まとめ

これまで紹介したケースはあくまで過去の事例をベースにお伝えいたしましたが、冒頭にも記載いたしましたとおり、ホームページ制作の種類も多種多様になっております。
本記事はあくまで一般論としてお考えいただき、詳しくは顧問税理士様などの専門家に相談されることをおすすめいたします。
またどれが経費で、どれが資産かを分かりやすくするために、ホームページ制作会社に見積を依頼する際は、なるべく項目を細かく算出してもらうようにすると良いでしょう。