コーポレートサイトの目的と役割:成果につながるコンテンツ戦略
記事作成日:2021年9月21日 最終更新日:2024年8月28日
企業にとって、コーポレートサイトは重要な存在です。単なるホームページではなく、顧客、株主、求職者など、様々な関係者との接点となる重要なツールです。この記事では、コーポレートサイトの目的、役割、そして成果につながるコンテンツ戦略について解説します。企業の信頼向上、成長促進に繋がるウェブサイトの作り方を学び、企業の顔となるコーポレートサイトを構築しましょう。
目次
コーポレートサイトとは?意味と目的を理解する
コーポレートサイトとは、企業が自社の情報を発信するために構築するウェブサイトのことです。単なるホームページではなく、企業の理念やビジョン、事業内容、製品・サービス、採用情報など、様々な情報を統合的に掲載し、企業全体の活動を広く知らしめる役割を担っています。企業の顔として、顧客との信頼関係構築、ビジネスパートナーとの協業促進、潜在顧客へのアプローチなど、多岐にわたる目的を果たす重要なツールといえます。
従来のウェブサイトは、単に情報を提供する場所という役割でしたが、現代のコーポレートサイトは、顧客とのコミュニケーションを図り、企業価値を高めるための戦略的なツールとして活用されています。そのため、コーポレートサイトを制作する際は、単に情報を羅列するのではなく、顧客にどのような情報を提供したいのか、どのような行動を促したいのかを明確に意識することが重要です。
企業の顔としてのコーポレートサイト
コーポレートサイトは、企業にとってまさに「顔」ともいうべき存在です。企業の理念やビジョン、事業内容、製品・サービスなど、多岐にわたる情報を発信することで、顧客やビジネスパートナー、そして社会全体に対して、企業の価値観や存在意義を明確に示す役割を担っています。
コーポレートサイトは、企業が外部に対してどのようなメッセージを発信したいのか、どのようなイメージを伝えたいのかを体現する重要な舞台となるのです。
単に情報を掲載するだけでなく、企業のブランドイメージを形成し、顧客との信頼関係を構築する上で重要な役割を果たします。例えば、洗練されたデザインや分かりやすい情報設計は、企業の信頼性を高め、顧客とのエンゲージメントを高める効果が期待できます。また、企業の社会的責任やサステナビリティへの取り組みなどを積極的に発信することで、社会からの共感を得たり、潜在顧客の興味関心を引きつけたりすることも可能です。
コーポレートサイトは、企業のビジネス戦略において重要な役割を担うツールです。顧客への情報提供、信頼関係の構築、ブランドイメージの向上など、様々な目的を達成するために、戦略的に活用していく必要があります。
コーポレートサイトの目的、何を達成したいのか
企業がコーポレートサイトを制作する目的は、ただ単に情報を発信することだけではありません。より明確な目標設定と戦略的な活用によって、企業は様々な成果を期待できます。
企業にとって、コーポレートサイトは、以下の様な多岐にわたる目的のために活用される場なのです。
具体的な目的例
- 新製品・サービスの告知やキャンペーン情報などを掲載し、顧客の獲得を目指す
- ブログやニュースレター配信を通して、顧客との継続的なコミュニケーションを図り、
顧客エンゲージメントを高める - 洗練されたデザインや分かりやすい情報設計を通して、企業のブランドイメージを向上させる
- 企業理念や社風、仕事内容などを分かりやすく発信することで、優秀な人材を獲得するための
採用活動の促進を図る - 企業の財務状況や経営戦略などを開示することで、投資家との信頼関係を構築する
- 企業の社会的責任やサステナビリティへの取り組みなどを発信することで、社会からの共感を獲得する(社会貢献活動の広報)
これらの目的を達成するためには、コーポレートサイトのコンテンツ戦略やデザイン、情報設計など、様々な要素を考慮した上で、戦略的に運用していく必要があります。
コーポレートサイトのターゲット
コーポレートサイトを訪れるユーザーは、主に会社の取引先や紹介顧客、見込みとなる新規顧客、また採用情報を掲載している場合には、求職者もホームページを訪問します。その他にも、株主や投資家などもユーザーに含まれます。
またサービスサイトやECサイトなどを持っている企業は、それらのサイトを見た後にコーポレートサイトへ流入するユーザーもいます。
つまりコーポレートサイトのターゲットは、会社に関わる非常に多くのユーザーということが特長です。
このことからコーポレートサイトを制作する際には、情報を整理して、各ユーザーに届けたい情報が伝わる構成をすることが重要といえます。
サービスサイトとの違い
コーポレートサイトとサービスサイトは、種類の選別をよく間違うことがあります。ホームページの種類としては、どちらもよく制作する種類ではあるのですが、目的やターゲットが異なっています。
サービスサイトを制作する目的は、売りたいサービスや商品が決まっており、それに焦点を当てて制作します。商品を購入してもらうことや、サービスについて問い合わせしてもらうことが目的となります。
またターゲットは、その商品を買いたいユーザーや興味のあるユーザーに限られています。
一方でコーポレートサイトは先ほど解説したように、目的は会社情報を知ってもらうためで、ターゲットは取引先や求職者など幅広いターゲットがいます。
コーポレートサイトに必要なコンテンツ
コーポレートサイトの目的を達成するためには、単に情報を羅列するだけでは不十分です。ターゲットとなる顧客や投資家、従業員など、それぞれのニーズに合わせた魅力的なコンテンツを企画・制作し、戦略的に配信することが重要となります。それが、コーポレートサイトの成果を左右する「コンテンツ戦略」です。
企業は、コーポレートサイトを通じて、様々な情報を発信していくことができます。しかし、ただ情報を発信するだけでは、ユーザーの関心を惹きつけ、目的を達成することはできません。
ユーザーが求める情報、つまり「価値あるコンテンツ」を提供することで、初めて目標達成に近づきます。
会社概要
会社概要は、基本的な会社情報に加えて、様々なコンテンツを追加しやすく、詳細に会社情報を伝えられることにより、信頼できる情報となります。
例えば代表挨拶は、企業の顔となる代表者の写真付きで挨拶のメッセージを発信することの出来るコンテンツです。他にも会社沿革や企業ロゴの説明など、会社の歴史や会社の想いの部分は、自由に発信することができます。
業務内容
業務内容については、会社によっては数が多い場合もあります。全体図やカテゴリ分け、写真付きなどの工夫をすることで、まだ会社のことをよく知らないユーザーでも、どのような会社なのか一目でわかるようになり、会社の印象も良くなります。
1ページに収める必要はなく、説明やスペックなど必要な情報はページを分けて細かく載せるようにしましょう。サービスサイトやECサイトも持っている場合は、そのリンクも忘れずに貼ってください。
このコンテンツで大事なことは情報を整理して分かりやすく掲載することです。
採用情報
求職者が必ず見に来るページです。募集要項や採用メッセージ、先輩社員の声、一日のスケジュールなど、自由に会社をアピールできるコンテンツです。実際に働いているスタッフの写真を使用すると、よりリアルな会社の様子を求職者に伝えることができます。
採用に力を入れている会社であれば、このページを充実させてページ数を増やしたり、別でリクルートサイトを制作することもあります。
またリクルートサイトを制作した場合や、エントリーの窓口が別のサイトにある場合は、分かりやすい誘導をするとユーザーにとって親切です。
リクルートサイトを別で制作される場合は、採用関連のコラム「採用サイト制作で失敗しないためには」「採用サイトは必要?飲食店こそ取り入れたい採用サイトの強み」がありますのでぜひ制作の参考にしてください!
IR情報
IR情報は、株主や投資家に向けて情報を開示するページとなります。情報をただ掲載するだけではなく、読みやすく必要な情報にすぐに辿り着ける導線設計が必要です。
最近のページは、PDFただ並べただけというスタイルは少なく、社内で更新できるシステムを導入して、投稿予約をするなどスピーディな情報を更新する企業が増えています。
実績・お客様の声
実績やお客様の声は、初めてサービスを利用する場合に気になる口コミのような役割を担っています。
実績は、ユーザーと同じ問題や悩みを抱えている場合に、どのように解決していったのかが分かると、新しい取引のきっかけになります。Before・Afterが分かる写真や、お客様の属性など、出来る限り詳しく載せると、よりリアルさが増しユーザーの興味を引くきかけとなります。
お客様の声も同様です。最近はインタビュー形式で、コンテンツを作成することも増えています。
このコンテンツも、自社で更新できるようなシステムを入れると、新しい事例が出来たら社内でにホームページにアップすることができます。ホームページを見たときに新しい実績やお客様の声が掲載されていると、人気があることや、たくさんのお客様がいることが分かり、会社の信頼へつながります。
スタッフ紹介
これから取引する会社のことを知りたいときや、初めてお問い合わせするときには、どんな人が働いているのか、対応してくれるのか気になります。そのときにスタッフ紹介ページがあれば、アポイントで誰と会うのか分かったり、会社の雰囲気も読み取れるので、顔が見える安心や親近感をユーザーに与えることができます。
新着情報
ユーザーにタイムリーにお知らせを発信できるコンテンツです。年末年始やGW休業などのお知らせ、コーポレートサイト内で更新したページをお知らせするなど、使い方は様々です。
ユーザーがすぐに見つけられるように、トップページのコンテンツの位置を工夫しましょう。
ブログ
コーポレートサイトへ設置するブログは、ユーザーがどんな情報を求めているのかを考え、ブログの目的を決めて投稿すると、継続性と更新性を持って運用することができます。社内ネタのような、一部の人しか分からない内容であったり、ほとんど更新していないブログではコンテンツの意味がないため、ブログ運用の際には担当部署やルールなどを決めて取り組むことをお勧めします。
お問い合わせフォーム
製品詳細や採用エントリーについてなど、何かお問い合わせしたいときには、電話の窓口だけでなく、メールフォームでの受付も用意しておきます。
同じ質問が何度もきたり、一律に回答できるものであれば、「よくあるお問い合わせ」というコンテンツを作成し、お問い合わせする前に見てもらうようにすると、返答の手間を省き効率的に対応することができます。
コンテンツ戦略で成果を出す
コンテンツ戦略は、成果を出すコーポレートサイトに欠かせない要素です。ターゲット層を明確化し、ペルソナを設定することで、ユーザーにとって価値あるコンテンツを提供できます。SEO対策やコンテンツの更新を通して、継続的にユーザーとのエンゲージメントを高め、企業の目標達成を目指しましょう。
ターゲットを明確にする
まず、コーポレートサイトを通じて、どのような人にどのような情報を届けたいのかを明確に定義します。ターゲット層を絞り込むことで、より効果的なコンテンツ制作が可能になります。
ペルソナを設定する
ターゲット層を具体的に理解するためには、ペルソナを設定することが有効です。ペルソナとは、架空のユーザー像であり、年齢、性別、職業、趣味、価値観など、様々な情報を設定することで、よりリアルなユーザーを想定することができます。
コンテンツの種類と目的を検討する
企業が提供するコンテンツの種類は多岐にわたります。ブログ記事、ニュースレター、動画、ダウンロードコンテンツ、イベント情報など、それぞれのコンテンツの目的を明確化し、ターゲット層に最適なコンテンツを提供することが重要です。
SEO対策を行う
ユーザーが求める情報を提供するだけでなく、検索エンジンで上位表示されるようにSEO対策を行う必要があります。適切なキーワード選定やコンテンツの構成、サイト構造の最適化などを行い、より多くのユーザーにリーチすることを目指します。
コンテンツの更新を継続する
魅力的なコンテンツを提供し続けるためには、定期的な更新が欠かせません。最新情報やトレンドを捉え、新鮮なコンテンツを提供することで、ユーザーの関心を維持することができます。ブログ記事の定期更新、ニュースレター配信、新着情報の更新など、コンテンツの更新は継続的な取り組みが必要です。
コーポレートサイトのデザイン
コーポレートサイトに必要なコンテンツが決まったら、ホームページの設計や構成などを考え、その後デザイン制作の段階に入ります。
デザインの役割
コーポレートサイトのデザインの役割は、信頼できる会社として見てもらえること、この会社に入社したいと思ってもらえることなどの目的を果たすことです。また、会社の顔ともなるコーポレートサイトなので、そのデザインから業務内容や会社の雰囲気が想像できることも大切です。
コーポレートサイトのデザインをしっかりと作りこんでおくことで、新しい取引の相談が増えたり、既存顧客との関係性の向上、求職者のイメージアップなど様々なメリットがあります。
制作することが決まったら、コーポレートサイトで発信したいメッセージや求める成果をしっかりと決めてデザインに取組む必要があります。
デザイントレンド
コーポレートサイトは、既存顧客から見込み客、求職者までターゲットが幅広くいるため、どのユーザーにとっても信頼してもらえる会社というイメージを届けなければいけません。
動画やアニメーションを使ったデザイン
動画など動きがあるコンテンツのホームページは、それだけで開いた瞬間ユーザーの目を引くことができます。ただ見ているだけで、どんな特徴のある会社か分かるため、ユーザーにストレス無くメッセージを発信することができ、トレンドとなっています。
短時間で多くの情報を伝えられる動画は、多くの企業が取り入れています。
図やイラストの使用
ホームページのコンテンツは写真とテキストばかりではなく、イラストやアイコンを使って分かりやすく説明しているコーポレートサイトもあります。
ユーザーにとってあまり馴染みのないサービスや、写真よりも図で示したほうが分かりやすいときには、積極的に図やイラストを取り入れて発信すると、親しみやすく、また理解しづらいサービスを分かりやすく説明することもできます。
目的達成のための戦略的な視点を持つこと
コーポレートサイト制作は、単にデザインや機能性を重視するだけでなく、目的達成のための戦略的な視点を持つことが重要です。企画段階から、ターゲット層やコンテンツ戦略、目的を常に意識することで、効果的なコーポレートサイトを構築することができます。
デザインとUX(ユーザーエクスペリエンス)のバランス
コーポレートサイトのデザインは、企業イメージを反映し、ユーザーに好印象を与えることが重要です。しかし、デザインだけでなく、ユーザーがサイトを快適に利用できるよう、UX(ユーザーエクスペリエンス)にも配慮しなければなりません。直感的なナビゲーション、見やすいレイアウト、読みやすいフォント、アクセスしやすい情報など、ユーザーがストレスなく情報を得られるサイト作りが重要です。
レスポンシブデザインの採用
スマホやタブレットなど、様々なデバイスで閲覧可能なレスポンシブデザインを採用することで、ユーザーが快適にサイトを利用できます。デバイスに合わせて画面サイズが自動調整され、情報が適切に表示されることで、ユーザー満足度向上に繋がります。
セキュリティ対策
企業情報や顧客情報の漏洩を防ぐため、セキュリティ対策は必須です。SSL証明書の導入や脆弱性対策、定期的なセキュリティチェックなどを行い、安全なサイト環境を構築することが重要です。安心して利用できるサイトであることを示すことで、ユーザーの信頼獲得にも繋がります。
アクセス解析ツール導入
制作したサイトのアクセス状況を分析することで、ユーザー行動や興味関心を理解することができます。アクセス解析ツールを導入し、データに基づいてサイト改善を行うことで、より効果的なコーポレートサイトへと進化させることができます。
制作パートナーとの連携
コーポレートサイト制作は、専門知識を持つ制作会社やデザイナー、プログラマーなど、様々なパートナーと連携することで、より質の高いサイトを制作することができます。企業のニーズや目的を理解し、協力して制作を進めることが重要です。
コーポレートサイト制作は、企業のブランドイメージを形成し、顧客とのエンゲージメントを高めるための重要な要素です。ポイントを踏まえ、戦略的に制作を進めることで、企業の目標達成に貢献する効果的なコーポレートサイトを実現できます。
まとめ
コーポレートサイトは、会社の情報が掲載されているホームページです。見に来るユーザーは、紹介客、既存顧客、新規顧客、求職者まで様々で、各々が求める情報は違います。
それぞれが目的を持ってコーポレートサイトへ訪れるため、最短で知りたい情報を提供できるようなサイト設計が必要です。今回紹介したコンテンツ内容を参考に、新しい取引やリピーター、採用へつながるようなコンテンツの作成をしてください。
またデザインについては、設計や構成が決まってから取り掛かりますが、コーポレートサイトの目的を達成するために、積極的に動画やイラストなどを取り入れて、ユーザー目線のサイト制作をしましょう。