リニューアルのタイミングを見極める7つの危険サイン

「なんとなく古くなった」という感覚は正しいことが多いですが、社内稟議を通すには客観的な根拠が必要です。以下の7つのサインのうち、一つでも該当すればリニューアルを検討すべきフェーズ、複数が該当すれば「緊急性が高い」と判断できます。

1. スマートフォン対応が不完全（MFI未対応）

現在、B2B・B2Cを問わず、閲覧環境の主流はスマートフォンです。Googleは「モバイルファーストインデックス（MFI）」を完全に適用しており、PCサイトではなくスマホサイトの内容と品質を基準に検索順位を決定しています。

• PCのデザインがスマホで縮小表示されているだけ
• ボタンが小さすぎてタップしにくい
• スマホで見ると文字が読みづらい

上記の状態は、ユーザーにストレスを与えるだけでなく、検索順位の下落に直結します。「レスポンシブデザイン（画面サイズに合わせてレイアウトが最適化される仕様）」への完全対応は、現代のWebサイトにおける最低ラインの要件です。

2. ページの表示速度が遅い（Core Web Vitalsの低下）

「クリックしてもなかなかページが開かない」ことは、ユーザーが最も嫌う要素です。Googleの調査によると、読み込みに3秒以上かかると、モバイルユーザーの離脱率は急激に上昇します。

さらに近年、GoogleはCore Web Vitals（コアウェブバイタル）という指標をランキング要因に組み込みました。

• LCP: メインコンテンツの表示速度
• INP: 操作に対する応答性
• CLS: レイアウトのズレ

これらが基準値を下回っている場合、システムやサーバー環境を含めた根本的なリニューアル（最新技術への載せ替え）が必要です。「PageSpeed Insights」などの無料ツールでスコアが50点未満の場合は、赤信号と考えましょう。

3. デザインが古く、企業の信頼性を損ねている

Webデザインのトレンドは3〜5年周期で大きく変化します。 例えば、画面幅が狭い固定レイアウト、影や立体感が強すぎるボタン、画質の粗い写真素材などは、ひと目で「古いサイト」という印象を与えます。

ホームページは企業の「第一印象」です。実際の企業イメージは先進的であるにもかかわらず、サイトが古いままでは、以下のようなネガティブな印象を持たれるリスクがあります。

• 最新の技術に対応できていないのではないか？
• 経営状態が良くないのではないか？
• 情報の更新が止まっている会社ではないか？

現在のブランドイメージとサイトデザインに乖離がある場合、リニューアルによるイメージ刷新は必須です。

4. コンバージョン（成果）が減少・停滞している

「アクセスはあるのに問い合わせが来ない」「資料請求が増えない」という場合、サイト内のUX（ユーザー体験）設計に欠陥がある可能性が高いです。

• 導線が複雑で、どこにお問い合わせボタンがあるかわからない
• 入力フォームの項目が多すぎて、入力完了前に離脱されている
• 製品やサービスの強みが、現在の顧客ニーズとズレた訴求になっている

これらは部分的な改修（パッチワーク）では解決しづらく、サイト全体の構造設計（情報アーキテクチャ）から見直す必要があります。

5. 採用活動において不利になっている

近年、ホームページリニューアルの理由として急増しているのが「採用強化」です。 求職者のほぼ100%が、応募前や面接前に企業のホームページを確認します。その際、サイトが古かったり、「社員インタビュー」や「働く環境」などのコンテンツが不足していたりすると、優秀な人材を取り逃がす原因になります。

「求人媒体にはコストをかけているのに応募が来ない」という場合、ホームページが採用のボトルネックになっている可能性を疑うべきです。

6. 更新作業が属人化し、タイムリーな発信ができない

「お知らせ一つ更新するのに制作会社への依頼と費用が発生する」「社内にHTMLがわかる担当者しか更新できない」といった状況は、ビジネススピードを著しく低下させます。

WordPressなどのCMS（コンテンツ管理システム）を導入し、「社内で、誰でも、簡単に」更新できる体制を整えることは、リニューアルの大きな費用対効果の一つです。情報発信の頻度はSEOにも好影響を与えます。

7. セキュリティリスクが高まっている（SSL/PHPバージョン）

目には見えませんが、最も危険なのがセキュリティの問題です。

• URLが「http」のままで、鍵マーク（SSL化）がついていない
• CMSやサーバーのプログラム（PHPなど）のバージョンがサポート切れを起こしている

これらを放置すると、「保護されていない通信」という警告が表示されてユーザーの不安を煽るだけでなく、サイト改ざんや情報漏洩のリスクに晒されます。コンプライアンスの観点からも、システムの刷新は急務です。 

ホームページリニューアルで得られる3つのビジネスメリット

リニューアルを単なる「出費」と捉えるか、「投資」と捉えるかで結果は変わります。適切なリニューアルを行うことで、以下のメリットが得られます。

① SEO評価の向上と集客力の強化

最新のSEOロジックに基づいた内部構造（HTMLタグの最適化、パンくずリストの整備、構造化データの実装など）に作り変えることで、検索エンジンからの評価を底上げします。また、コラム機能などを実装し「コンテンツマーケティング」を行いやすい環境を作ることで、長期的な流入増が見込めます。

② 営業工数の削減と成約率アップ

ホームページに「よくある質問」「詳細なサービス資料」「事例紹介」などを充実させることで、顧客は問い合わせ前に多くの疑問を自己解決できます。 これにより、営業担当者は「見込みの低い問い合わせ」への対応時間を減らし、「確度の高い商談」に集中できるようになります。ホームページが優秀なインサイドセールスの役割を果たすのです。

③ Webアクセシビリティへの対応と社会的信用の向上

近年、高齢者や障害者を含むすべての人が情報にアクセスできる「Webアクセシビリティ」への配慮が求められています。公的機関や大手企業を中心に義務化の流れが進んでおり、リニューアル時にこれに対応することは、SDGsやCSR（企業の社会的責任）の観点からも、企業価値を高める要素となります。 

失敗しないリニューアルの進め方：準備フェーズが9割

リニューアルプロジェクトが失敗する最大の原因は「準備不足」です。制作会社に丸投げせず、以下のステップで準備を進めましょう。

STEP1：目的とKGI・KPIの設定

「なぜリニューアルするのか」を明確にします。

• KGI（最終目標）： 売上〇〇%アップ、採用エントリー数倍増など
• KPI（中間指標）： 月間アクセス数、問い合わせ件数、資料ダウンロード率など

数値目標があることで、デザインやコンテンツの方向性がブレなくなります。

STEP2：RFP（提案依頼書）の作成

制作会社に見積もりを依頼する際、口頭ではなく「RFP」を作成して渡すことを推奨します。

• 現状の課題
• リニューアルの目的
• ターゲット層
• 必要な機能（CMS、フォーム、会員機能など）
• 予算感と納期

これらを文書化することで、制作会社からの提案精度が格段に上がり、「思っていたものと違う」というトラブルを防げます。

STEP3：コンテンツの棚卸しと整理

現在のサイトにあるページをリスト化し、「残すページ」「統合するページ」「削除するページ」「新しく作るページ」を仕分けます。特に、SEOで評価されているページを誤って削除してしまうと、アクセスが激減する恐れがあります。

 

リニューアル時に注意すべきSEOの重要ポイント

最後に、リニューアル時に見落とすと危険なSEOのポイントを解説します。

301リダイレクト設定の徹底

URL構造が変更になる場合、旧URLから新URLへの自動転送設定（301リダイレクト）が必須です。これを忘れると、これまで積み上げた検索エンジンの評価（ドメインパワー）がリセットされ、検索順位が圏外に飛んでしまうリスクがあります。

内部リンク構造の最適化

関連するページ同士を適切にリンクで繋ぐことで、ユーザーの回遊率を高めると同時に、Googleのクローラー（巡回ロボット）がサイト全体を理解しやすくなります。 

まとめ：リニューアルは「企業の成長エンジン」を作り直す作業

ホームページのリニューアルは、単に見た目を綺麗にするだけの作業ではありません。 「集客装置のアップデート」「営業プロセスの効率化」「ブランド価値の再定義」という、経営課題を解決するための重要なプロジェクトです。

もし貴社のホームページが、今回ご紹介した「危険サイン」に一つでも当てはまるなら、それは成長の機会を逃している可能性があります。

「自社のサイト現状をプロに診断してほしい」 「リニューアルの効果シミュレーションをしてみたい」

そのようにお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。貴社のビジネスゴールに寄り添い、長期的な利益を生み出すWeb戦略をご提案いたします。